何も考えられない。

今、本格小説を読み終えた。ううん、読み終えたとは言えないと思う。とても終わらせることはできない。
ああ。すごく動揺してる。頭の中がおかしい。ふわふわしてる。
正直に書きます。この小説がフィクションかどうか、ということに捕われてました。上巻では。そんなこと、どうだっていい。*1あと、あの数日前に私が書いた感想。とっても恥ずかしい。何書いてるんだろう。軽薄じゃない、希薄だよ。本当に、恥ずかしい。

嵐が丘のセリフがあったから。「あたし以上に、あたしなの」。甘く見てた。甘かった。
書評を読んだんです。その中で、会話の一部分が引用されてて。いつ出て来るんだろう、ああ、最初に知ってて興ざめかもな、なんて思ってた。なのに、違った。本当に、怖いくらい、動揺させられた。

幸せってなんだろう。

フミ子お姉さん。あぁ、そうか。と最後の数十ページ、またひどく動揺させられた。そうか。そうか。他に言葉が出てこない。そうか、そうだよね。私は大人じゃない。大人じゃないよ。だってこんなに動揺してる。
たろちゃん。太郎ちゃん。どんな気持ちで。フミ子お姉さん。どんな気持ちで。よう子ちゃん。何も知らなかったの?ああ。あの三人での食事。ばかみたい。ばかみたい。私は素直に信じてた。大人の世界なんて、知らなくてよかった。多分、まだ。

読み返したくてしょうがないのに、読み返せない。

嵐が丘は。ネリーは、語り手でしかなかった。
フミ子お姉さんは。感情を持った、一人の人間で。後ろめたさも、嫉妬心も、ちゃんと持った人で。

ああ。読み返せるはずなんてない。重た過ぎる。一人一人の気持ちが、希薄な私には重た過ぎる。

雅之ちゃん。知ってたら。許してた?よう子ちゃん。無邪気で、いられなかったんじゃない?太郎ちゃん。どんな気持ちで。フミ子お姉さん。本当は、どんなものを、抱えていたんですか?

ひどく動揺してる。
ましな国じゃない日本でぬくぬくと育った大人じゃない私には、このお話は。とても。

*1:一応どうしてそんなことを考えたかというと、胃がんが日本と比べて圧倒的に少ないアメリカで胃カメラが売れるとは思えないから。