Kirinji Special Showcase 〜OMNIBUS2〜 at Billboard Live Tokyo

2年ぶり二度目のビルボード。前回同様またしても雨。ほんとにこの人たちってば。
2日目の2ndステージ。母親はネットでネタバレを見つける事ができなかったらしく、私もネタバレせずに当日を迎えることができた。(ごめんお母さん、ネタバレは嫌なのだよ…)
仕事帰りで新幹線に乗ったから集中できなかったというのもあると思うけど、沖縄に行ったことで変な心の余裕があったのかも。ステージに皆さんが出てきても、なんとなく、緊張もワクワクもいつもより少なかった…
というのも、やっぱりビルボードだったからかも。飲み物が薄かった!お酒じゃないからかな。私のジンジャーエールも、母のクランベリーも、どっちもびっくりするくらい薄かった…あと、夕飯はすませてしまっていたのでジェラートを頼んだ。何も言わなくても取り皿持ってきてくれたのは素敵だったけど…まあいいか。期待値上げすぎていたかも。バーニャカウダはいいにおいがしてた。
六本木の街は、節電してたんだね。母親が帰ってきてから「前行ったときより暗かった?やっぱり節電?」と尋ねて初めて気付いた。そうか、そうだよね。開演前の夜景は控えめだった。
あと、開演前に流れる「今後の予定」とその音楽、二回しか来たことないけどいつも素敵だね。東京に住んでたら、それこそしょっちゅうふらっと仕事帰りに寄るレベル。ミッドタウン東京といい、地方人からすると、異世界です。
というわけで、出てきた皆様はカジュアル。泰行さんの着てるものの背中についてるワッペン的な何かに度肝を抜かれる。高樹さんさわやか。楠さん、遠目にスネオみたいだな、と思ってたら母も終演後に同じこと言ってた。遺伝子。

ロマンチック

土岐さん、さらっと歌ってるけど、ほんとはすごく難しいんだな!と手ぶらで歌う泰行さんを見て思うのは泰行さんに失礼だけど。

髪をほどいて

提供曲を、たとえダウンロードしてあったとしても、あんまり聴かないんだよね。「髪をほどいて」は提供時にキキでかかったのを何回か聴いたレベル。(だから、曲名に気付くまでにしばらくかかった。)
でも、泰行さんの声が好きなんだな、私。あの難しいメロディがすっと入ってくる感じ。いつもライブレポでは泰行さんの声について書いてるからちょっと意外かもしれないけど、普段は「泰行さんの声が好き!」とは全く思ってないのです(笑)だから、「髪をほどいて」を歌ってるのが泰行さんの声だからこそすごくいいと思えたことは、自分の中では再発見みたいな感じで。いや、あの声も好きだからこそキリンジファンなんだけどさ。
あ、でも「髪をほどいて」がグッと来たのに関しては高樹さんのおかげかも。ハモリがすんごいかっこいい!サビでしびれた!楠さんを確認してしまったことを懺悔したいと思います(笑)ギターソロもかっこよかったな。
この曲を提供したころって、東京ゼップ工業だっけ?「あげるのはちょっともったいないな、ってくらいがちょうどいいんだよね」というあのMCを思い出して、今の状況を思って、ちょっと切なくなったりもした。

若葉の頃や

ギターを持つ泰行さん。普段どんなに弾かなくても手持ち無沙汰だから持つのに…やっぱり自分の曲だと余裕が、いえ、なんでもないです。
ちょうどHHHのあとくらいだった気がする。その思い出もあって、この曲はリピートしたなあ。
元々Aメロが好きだったんだけど、泰行さんの低い声!素敵!
キーが違うからかもしれないけど、サビが雰囲気違う気がした…元々はこういう感じだったのかもしれないね。

MC

今回は上記の理由で、MCもあんまり覚えてないや…
「曲を書いて下さいって言われるのは嬉しいね」っていう話から、「頼むから書かないでください!って言われたらちょっと凹む」っていうのは地味におもしろかった。
あとは、「エイリアンズいいっすよねェ、マジ最高ッス」みたいな"調子のいい業界人"の高樹さんの小芝居には切なくなったりもした。その曲がエイリアンズだっていうことに、ね。キリンジが二人だって分かってない人も…いるだろうね…
今回は提供曲の名前をいちいち言うから、ラジオの番組みたいになっちゃうっていう話も。これで最後まできてしまったって言う。泰行さんが挙げてた名前、「ラジオ新ナビ」って聞こえたけど、笑えなくて悲しかった。
「メロディを提供することが多いんだけど、歌詞も提供して気に入ってる曲」という高樹さんの紹介で「わたしの青い空」。

わたしの青い空

泰行さん、ためすぎ!
っていうのは冗談で*1
演奏も、泰行さんの歌も、沖縄より気合い入ってたね。
ここで、「なんでBBLだとダウナー系の曲ばっかりやりたがるんだろう、キリンジってば…前行ったときもアレンジが全部暗くて笑ったけど…BBLはこういう曲が合うって思ってるのかな…って、提供曲が全部こういう感じなのか!」と一人で逡巡してました(笑)
なんといっても伊藤さんのアコーディオンでしょう。

お針子の唄

って、お針子の唄も作詞作曲してるじゃない、高樹さん…
私、この曲聴いたときに「あ、BBL来てよかったな」って思いました。「個人的によかった曲」の一つです。
重厚で、壮大で、ミシンの狂気的なリズムっていうか。あのリズム隊だからこそできる音、それが今回のアレンジの肝になってるんだなって。あ、そうそう、一昨年のBBLでの「誕生日」みたいな感じ!私あのアレンジも大好きだったな…キリンジに完全に掌握されてるな!って今更だな!
これもほんとにメロディ難しいね…でも歌いにくさをものともせずに、最後のサビの泰行さん、どれだけ声を張り上げても嗄れることはなくって、ああ、本当に杞憂でよかった、なんてちょっと場違いなことも思った。

MC

「お針子の唄」は、お針子って言いつつ、ミシンも出てくるし、手芸部みたいなイメージです、だって。「南波さんも気に入ってるって」という泰行さん情報。詳しいですね泰行さん、と思ったところで、「球技大会頑張ってね」と連絡し合う仲ですものね。って南波ちゃんから泰行さんにはそういう応援は来ないだろうけども(笑)
39才になったので、という泰行さん。だから自分の作ったピチピチの曲じゃなくてこっちを歌った、って言ったんだっけ?ああ今回はほんとにMCうろ覚え…
懐かしい曲を、ってことで、次。

代官山エレジー

武道館以来のこの曲。あのときと雰囲気が全然違うんだよね。最初はBBLバージョンかなって思ったけど、むしろ、武道館が「あの頃の代官山」なら、この日のこの曲は「今の代官山」だと思った。それは伊藤さんのキーボードだからかな。今ドキの代官山エレジーにアップデートされたような気がして。
これを聴けて本当によかった、ということで、「個人的によかった曲」もう一つは「代官山エレジー」です。
「わざと邪険にね背中向けたのは」って歌っててびっくりした。前は「わざと邪険に背中を向けたのは」って歌ってなかったっけ?これ藤井隆の原曲通りじゃないっすか…泰行さん、引っ張り出して聴いたのかな(笑)
そうだ、マラカス振ってましたよね、泰行さん。
ていうか、藤井隆はおいしいな!2曲もセルフカバーしてもらえて!

ハルニレ

イントロがカントリー調で、オールディーズっぽくて。この曲やってる皆さんの顔が楽しそうだな、と思ったから、あとでMCで高樹さんがしつこく言ってたときにはぎくっとしたよ。
確か原曲も持ってるはずなんだけど、全然覚えてなくて本当にオールディーズかと思ってしまった(笑)泰行さん、こういうメロディも作るんだね。
セルフカバーの面白い点は、「髪をほどいて」のときにも思ったんだけど、キリンジなら絶対歌わない言葉を歌ってくれる、ということ。「君に会えなくなって」とか、キリンジじゃあ絶対ないもんな(笑)それを泰行さんが歌ってくれることの新鮮さたるや。それだけでプレミアムです。

MC

keycoさんの…ん?!keycoか?!うん、keycoだ…」という泰行さんの独り相撲(笑)
マイラバに提供したjelly fishのあとに、「ちょっと風変わりなカバーをやりたいと思います」という泰行さんのお言葉。
このあたりから帰りの時間が気になってそわそわし出す私。記憶も全然ない!から、感想も適当です…。

Jelly fish

そういえば提供してましたね!全く聴いたことがなかった気がします。
「don't be jelly fish!」の意味を考えたけどよくわからない。クラゲになるなって、どういうことだろう。クラゲ…透明でふわふわ泳いでいてつかみどころがないってことかしら?

Rich girl

これまたコーラスがちょういい!!!今回は高樹さんのみならず、みんなで歌う。みんなっていっても楠さんと玄さんだけど。
というか皆さん!泰行さんが「bitch」とか言っちゃってるんですよ!すばらしいですよね!
私はキリンジのカバーってそんなに…と今まで思ってたんだけど(例:夏なんです、曇り空)、このアレンジはすごいよかったー!
何より演奏してるみなさんがすっごく楽しそうで、まるでバンド始めたての少年達が文化祭で初ライブしてるみたいなキラキラっぷりで、それが本当に嬉しかった。
帰ってきて父親に「hall and oatesのrich girlやったんだよ」って言ったら、「ああ、似合いそうだねキリンジに」と言ってました。父親もキリンジを理解しつつあるようです。…ほんとか?

夏のお嬢さん

ま、じ、かー!という歌い出し!
「チュウチュウチュチュ」ですよ!ビッチだったりチュウチュウチュチュだったり、大変ですな!お疲れ様です泰行さん!
「君は僕の憧れの人だよ」「お嬢さんお嬢さん」…いやはや。これは泰行ファンを殺そうという作戦なんだろうな。個人的には時間差攻撃っていうか、時限爆弾っていうか、思い出して爆笑しながら悶える感じです。
アレンジに関しては、「キリンジっていうか、granola boysっぽいね」という母の感想に激しく同意したので書いておきます。

それもきっとしあわせ

本編最後。
アウトロが好きなんだよねえ。

God Only Knows

陽のあたる大通り

アンコールは本当に覚えてない…終わったらダッシュすることしか考えてなかったから…感想が全く書けないなんてひどいけどしょうがない。
「陽のあたる大通り」は沖縄と比べると、より作り込まれてたなあ。個人的には沖縄のピアノだけみたいなシンプルな感じもすごくよかったから、甲乙つけがたいな。でも、この曲を丁寧に演奏して、それを今回の大トリにしてくれたってことがなんだかじんわりした。
妄想だけど、私が沖縄でこの曲を聴いて、それまでそんなに好きじゃなかったのを思いっきりひっくり返してくれた、のを知ってるから、この曲をやってくれたんじゃないかみたいなうんぬんかんぬん。
後ろにはやや控えめとは言えきらきらの夜景なのに、「ポケットの中いつだってお金はないけど」が妙に似合ってしまうキリンジをこれからも愛し続けられたらいいな。

あとは蛇足。
終演後ダッシュして、横浜のお姉さんと一緒にエレベーターに乗って地下鉄、新宿。夜行バスの乗り場は端っこも端っこ、遠くて薄暗いところで、そこの汚いトイレでワンピースを楽なものに着替えた。
「さっきまではあんなきれいな場所にいたのにね」と母親。バスを待つ人たちの列は、暗い顔。
帰ってきてから思ったんだけど、これは灰かぶりのお話なんだな。キリンジの魔法で夢のような舞台を見せてもらって、でも23時に魔法は消えてしまって、カボチャの馬車ならぬ高速バスに乗って、辿り着くのは現実の世界。名駅の裏側。待っているのは患者さん。
シンデレラのあのお話の中、きっとあの舞踏会には、シンデレラみたいに王子様と踊れなくても、遠くから見つめられただけで幸せだった、そういう私みたいな女の子もたくさんいたに違いない。王子様たちを遠くから見つめるだけで幸せで、その記憶だけで、明日も頑張って働けるの。

*1:いや、ほんとに思ったんだけどね(笑)最後のサビのところ、いつ歌い出すんだろうかと…