3冊まとめてドン!

今年は読書ノートをつけようと思い立ち、読書ノートをつけてからはてなにも書くことにしました。読書ノートはほんとにパーソナルな感想で、はてなは対外的。多分、選ぶ言葉が違うだろうけど、どっちも私の感想だから、できるだけ両方で書いていきたいな。
それでは読んだ順で。

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

まずはカズオ・イシグロ。まだ感想を書けてない「わたしを離さないで」の続きで。
父親が昔、「日本人が父親の仕事の都合でイギリスにいって、そこで名誉ある文学賞を取ったらしいよ」という話をしてくれた。私がまだバイトをしていて、その送り迎えのときに出た話のような気がするから、少なくとも4年以上前だ。
おぼろげにしか覚えていなかったけども(父親とのまともな会話は読書関連のことくらいしかないのに…)、「わたしを離さないで」を読んで、あ、これお父さんが話してくれた人じゃん、と気付いた。ので、この間父親にこの話を振ってみた。
「お父さんさー、昔、日本人がイギリスの文学界で評価されてるって話してくれたじゃん?」
「んー?村上春樹とか?」
(オイ!そんな話してないでしょ!)「違う違う、英語で書いてる人で…」
「あー、イシグロカズオか!」
というわけで、やっぱりというか、そうだったのでした。
そのときの私は「わたしを離さないで」を読んだ直後の興奮状態だったので、その感想を熱弁したかったんだけど。お父さんは「あー。あの暗い話ね」と一蹴。あれ?「お父さんは『日の名残り』の方が面白かったかな」だと。
というわけで、読んでみた「日の名残り」。(導入長過ぎる!)
一つ分かったこと。お父さんと私、読書の趣味合わない(笑)
いや、違うの。「日の名残り」も面白かったよ。スティーブンスさんはかわいい、もといチャーミングなイギリス紳士。こんなに真面目な主人公を、くすっと笑ってもいいお話。くすっと笑って、ものすごく切ないお話。
真面目で、正しいと信じた道を選び続けたのに、最後に「人生を間違えたとしても」と言ってしまう切なさ。でも人生って、きっとそうなんだろうな、と小娘の私は思う。
好かれようとしない (講談社文庫)

好かれようとしない (講談社文庫)

職場の本屋で見つけた小説。軽い気持ちで手に取りましたが、すごく面白かった。
凡庸、と言われたらそれまでなんだけど。すごくよかった。
すごくいい、と思った理由は分かっていて、単純に、主人公の風吹に自分を重ねたところ最終的にハッピーエンドだったから、です。恥ずかしいけども。
鍵屋さんが実際に魅力的かどうかはさておき、風吹の気持ちの変化がかわいいし、応援したいと心から思える。近頃は干物女的な主人公の話ってありふれているだろうけど(私が読んだのは、綿矢りさの「勝手にふるえてろ」とか。あれは干物女とはちょっと違うか?まあいいや)、ちょうどいいリアリティと、ちょうどいいファンタジーと、ちょうどいいハッピーエンドなのです。
イシグロ2冊のあとに読むには最高の小説でした。気楽に読めて、楽しくて、読み終わったらふっと笑顔になれたから。朝倉かすみさん、他にも読んでみたい。
ずっとひとりのわけじゃない (小学館文庫)

ずっとひとりのわけじゃない (小学館文庫)

唯川恵って、意外と読んだことないんだよね。多分1冊もないんじゃないかな。
それで最初に手に取ったのがエッセイ集なんだから、ほんとに私はひねくれている!
そして、このエッセイ集、飽きる。細かいテーマ自体は違っても、その途中の考察が似通るというか。
言ってしまえば、大人としての、恋愛と仕事。まあ、女の人にとって恋愛と仕事が全てといってしまえばそうか。日経ウーマン的とでもいいますか。でも、その二つに関する細かいテーマを全部唯川さん一人が語るとなると、ご自分の体験談は似たような話に、結論だって似たようなものになる。だから飽きる。
だけど、この本を、私は、読んでよかったと心から言える。
耳が痛かった。
「仕事」と「生き甲斐」の難しい間柄。「結婚」のこと、「自立する」ということ。
分かっていたつもりのことを、繰り返し繰り返しやさしい言葉で説かれると、そうだよなあ、と素直にうなずける。
とてもいい教科書でした。生き方を提示する教科書というより、考える材料、考えるヒントを与えてくれる参考書かな。私は、ひとりの間にまだまだ考えなきゃいけないことがある。「ずっとひとりのわけじゃない」のだとしても、そうでなくても。