憧れ、慣れ

日本から離れていた頃、日本の食べ物がうらやましかった。(逆に、食べ物以外ではそんなに支障がなかったってことかもしれない。日本語の本が滅多に手に入らないのは辛かった。でもほんとにそれくらい)
ずっと食べたいなあと思っていたのは、ひとつはフルーツ。柿は渋柿しか売ってないし、白桃なんて見かけたこともなかった。いちごは大きくてもガリガリですっぱい。メロンはどれも安かったけど、日本で食べるメロンみたいな濃密な甘さはなかった。手でむけるみかんも懐かしかったなあ。
次にお寿司。手巻き寿司は母が準備してくれて何度も食べたけど、握りが懐かしくてしょうがなかった。スーパーで売ってる安いパックのお寿司でも憧れだった。
あとはパン。アメリカのパンっておいしくないっていうか日本のパンがおいしすぎる。何日経ってもカビないパンをトーストして食べてたよ。シカゴのヤオハン(日本のスーパー?)の中にあるパン屋さん「Hippo」の焼きたて食パンが大好きだった。いわゆる日本風の食パンで、あの頃はときどきしか食べられないから大事に大事に食べてたけど、今食べたらどうってことないパンなんだろうなあ。
そして、三ツ矢サイダー。正確には、一時帰国したときに伯母が出してくれて、こんなにおいしいものがあるのか!と衝撃を受けた。一刻も早く日本に(永久的に)帰って来たくなったという思い出。しばらくは憧れの飲み物だった。アメリカにはこういう繊細なサイダーはないもの。せいぜい気の抜けたセブンアップしかない。
今でも、ここに書いてある食べ物を目の前にすると、テンションが上がる。(あ、パンは上がらないかも…笑)三ツ矢サイダーを買うとき、毎回どきどきする。安い人です。
もちろん、今は日本のものが当たり前に手に入る生活に慣れてしまっている。でも、ふとした瞬間に、日本にしかないものだっていうことを思い出して、やっぱり日本っていいなと思う。日本に帰って来てもう20年近く経つのに、「帰って来たんだなあ」って不思議な気持ちになったりする。
日本が好きです。