何にもなれない私VSどうしようもない世界
読みました。「エバーグリーン」に続いて豊島さん2冊目。
- 作者: 豊島ミホ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2005/03
- メディア: 単行本
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うーん。でも、この短編集はどれも「何にもなれない私」「無力な私」「理不尽とまではいかなくても自分ではどうしようもない世界」で終わってるように思うんだよね。その先が何もない。何もなくてもおもしろければなんだっていいんだけど、おもしろくない。言っちゃった。
私は「エバーグリーン」の方が面白かった、その理由を考えた。「檸檬のころ」は高校生がリアルっぽく感じなかったから、かも。私たちの世代より今っぽい感じなのに、完全に今の子たちのノリでもなさそう。(ここで言う「今の子たち」は、私が塾やら家庭教師やらで教えていた子たちなので、厳密には「今」よりも5年以上前かもしれないけど)
「何にもなれない私」に気付くのが豊島さんだとしたら、それでも働かなくちゃいけないのが津村記久子さんで、そこからさらに厭世的になったのが長嶋さん。(え、こんなくくり書いていいの?)
せっかく気付くのに。それだけで終わるのはもったいない。うーん。だけど、世界はどうしようもないからそこから書けることはない、っていうこと??
別に説教じみた話を書いてほしいわけじゃないんだ。ただ、読んでいて、さらさらと通り過ぎてしまう。最後の別れ話なんかは共感でもできれば面白いのかもしれないけど、「うんあるよね。で?」ってなってしまいかねない…よ。
いや、あのね。逆に全部ハッピーエンドの方がすっきりすると思うの。だってさ、あの「ルパンとレモン」とかおかしくない?結局秋元さんはエースと付き合うけどさ、あの書き方じゃ納得できないんだよ。そりゃ人生理不尽だし、うまくいくことなんてほとんどない。だけど、「うまくいかなかった。おわり。」って言われても納得できないよー。秋元さんがエースに惚れる感じとか、よく分かんないもん。いきなり惚れてるんだもん。西くんがさっさと告白しないからいけなかったの?そういうもんなの?ていうか西くんなんでぼーっとしてたの?今時というより一昔前の草食系なの?なんなの?普通に読んでると、「秋元さんと佐々木くん?がくっつこうとするんだけど、西くんが割り込む」っていう流れになるかと思うのに、全くの肩すかしっていうのが気に入らないのかも。短編だから無理なの?
なんだかさ。小説じゃなくてノンフィクションって言われた方が納得するかも。だって、普通すぎるもん。なんでこれが小説じゃなくちゃいけないのかわかんない。
ひゃー!私豊島さんにきびしいな。同い年だから?嫌いなタイプではないはずなんだけど、ハマりきれないなー。なんでこんなに批判ばかりしているのか…ストレス溜まってるのか…性格悪いのか…はっ。SO☆RE☆DA☆
あと、微妙にバンド名を出されるのもキツイのかもしれない。ターゲットがすごく狭い気がして。豊島さんの読者で圧倒的に多いのはその層だろうからいいのかもしれないけど、小説って普遍的なものであるべきだと思うので、楽しんでるくせになんだか引っかかってしまう、のだと思う。私って偏屈だわー。