KIRINJI LIVE 2013 @ BUNKAMURA オーチャードホール

今、この気分で文章を書けることに感謝しています。(2013.12.16に書いてます)
いやあ、よかった。本当によかった。高樹さん、よかったよ。

1.きもだめし

あれ?暗い中、実はみんな出てきたのに、誰も拍手しない??と思ったら、音楽が終わったら拍手。ほっとする。始まる。
イントロが流れる。あ、これ知ってるやつ。「きもだめし」だ。高樹さんが歌う。新しいKIRINJIだ。
明るく怖い曲。泰行さんがライブで歌うことのなかった曲だから、なんだか、ふつうっぽい。
(今聴いてみると、ユニゾンなんだよね。だから、高樹さんの声もたくさん入ってたんだね。これも、こういうことがなかったら気付かずに終わったのかも)

2.ロープウェイから今日は

ああ。これは。知ってるやつ。知りすぎてるやつ。よくライブでやってるやつ。
なんとなく苦しくて隣の母を見たら、泣いてた。実は一曲目から泣いてたらしいけど。
泰行さんが歌ってたところを、高樹さんが。高樹さんが歌ってたところを、女性陣中心のコーラスが。
このコーラス。とても澄んでいて、今までのキリンジにはなかった声色。ここで強く、今までとの違いを感じさせられました。

3.クレゾールの魔法

ああ、この曲いいんだよねえ。やってくれてうれしい。2005年のときは、なんだか集中できなかった。けど、この日はとても上手。ハモリはコトリさんだったかな。とても、よかったです。最後のディビは少なめだったかもしれないけども…(KIRINJIになってもこのツッコミ!笑)

4.いつも可愛い

ああ、この曲。大好きです。やってくれてうれしいな。
ちょうど一年前にも聴きました。東京で。みんなお客さんがひゅーひゅー言い過ぎて、高樹さんが笑っちゃって歌えないくらいだったんだっけ。
と思い出していたら、そのときは隣にちっちゃい人がいたこと、頭をよぎって。
「あー、あー、あー」。コーラスは、1年前よりも透き通ってる。かわいいコーラス。ああ、この間とは違うな。
今、目の前のKIRINJIは素晴らしい演奏で、大好きな曲で、なのに、私は1年前のことを思い出してしまって。
気付いたら泣いていました。悲しいのとも、辛いのとも違う。よくわからない涙でした。でも、一旦泣き始めたら止まらなくて、号泣というか、嗚咽というか。ものすごく泣きました。
私は思いました。この涙は、本当は一年前に、あるいは今年の4月に流すべき涙だったのです。あのとき出なかった分、今出ている。
ずっと。去年のあのときから、「いつになったら、私は泣けるんだろう。こんなに悲しいのに」と思ってました。大好きな曲を、大好きな高樹さんが、素晴らしい仲間(弓木ちゃんのニコニコ!もうすでに虜でした)と一緒に演奏してくれてる今。なぜだか、急に解き放たれました。
ほとんどを泣いていたため、聴けなかったけど。「化粧しながら」のところにさしかかったら、気持ちはとても晴れ晴れとしていました。このKIRINJIをきちんと応援できるって、心から思いました。応援できるし、したい。このKIRINJIの演奏を聴きたい、見たい。
多分もう泣かないなって思いました。

5.FUGITIVE

福田和子の歌。グランドピアノを弾きながら、コトリさんのおうた。
これはものすごく好みの曲です。高樹らしさ全開!音源化がめちゃくちゃ楽しみです。
でも、マイクの音量もうちょっと上げてもらいたかったな…もっとボーカルを堪能したかった。

6.ハピネス

ああ、なつかしのハピネス。あんまり好きじゃないから、ライブでもないと聴かない(笑)
後ろのピンクの照明。初めて聴いた名古屋厚生年金会館や二回目に聴いた武道館でよりも、ずっとずっとおうたが安定してました。高樹さん!やればできるじゃない!

7.お針子の唄

「せっかく歌える若い女の子がいるので」という高樹さんのMCで。ニコニコの弓木ちゃんが歌います!
この前まででもものすごく、弓木ちゃんはキリンジファンの心をわしづかみにしていたと思います。だって、本当にかわいい!
高樹さんは泰行さんの声のことを、「イノセントな感じもある」と評したことがあると思うんですが、それは声に限ったことではなく、性格も含めての印象だと私は思っていて。だって、泰行さん、フェアリーだもん!発想がおかしいもん!笑
ただ、泰行さんは100%ピュアな人ではないんですよね。そりゃそうだ、40過ぎたおっさんなんだから。黒いところもないと困る。生きていけないよ。
でもね。弓木ちゃんはピュア100%なんですよね。混じりっけなしの純粋さ。
高樹さんが最初のMCだったかで、「一服の清涼剤!」ってデレデレしてるのを見て、すごく新鮮な気持ちになったんだけど。だんだん高樹さんのデレが理解できました。そりゃそうなりますよね。ホンモノのイノセントさを、心から愛でることができるんだから。
で、弓木ちゃんの「お針子」。泰行さんもカバーしてるけど、泰行さんは男性。弓木ちゃんは、南波ちゃんと一緒、若い女の子。
すごくかわいい。ピュアさ満点。だけど、だからこそ、南波ちゃんとかぶる…
南波ちゃんが来てないといいなと思いました。もしこれを聴いたら、ショックを受けると思ったから。ちゃんとKIRINJIの、若い女の子の、「お針子の唄」になってるから。
だけど、来てたんだよね。喜びのツイートをしていたけど、それは、ああ書くしかないよね。南波ちゃんの心中を思うと、なんだか切ないです…
うーん。でも、これだけだとアレだからな。南波ちゃんはピュアだけじゃないと思うんだよね。本当は、その奥の女のどろどろしたもの、それを隠している、隠せているギリギリの年齢、的なタイミングなんじゃないかなーと思う。それが強みだよね。弓木ちゃんはギターテクがすごすぎるから、ピュア100%でも、そのギャップがとてもおいしいのであって。
南波ちゃんと弓木ちゃんは、全然違う。言うまでもないけど、自分で言っておいてなんだけど、南波ちゃんが落ち込むことはないと思うな。
長くなった!

8.黒のクレール

大貫妙子さんのトリビュートに参加しまして」と。
これ!ものすごくいいですね!!!明日フラゲしようと思ってます!!!早速KIRINJI音源が手に入れられる喜び!!!
母が言っておりましたが、やっぱり一度収録したものなので、完成度が他の新曲と違いますね。また大阪で聴けるのも楽しみです。

9.黄金の舟

イントロ聴いて、どきっとしました。泰行さんの声で、ライブで聴くことはなかった曲。Tenの中で一、二を争うほど好きな曲。
そして、歌い出しでびっくりしました。まさかの楠さんメインボーカル!!!
一瞬比較して、でも、すぐに反省しました。KIRINJIなんです、楠さん。楠さんのおかげもあって、高樹さんは今ステージに立てているんです。歌ってください、どうぞ!
後になって気付きました。泰行さんがライブでやってないからこそ、他の人がメインボーカルを執っていいんです。これは高樹さんの気遣いでした。
しかも、知ってたけど、楠さん上手!めっちゃうまい!
高樹さん評は「声が二枚目」でしたけど、ほんと、おしゃれな歌になりました。(泰行さんがださいっていうことではないよ!)
結果的に、これでよかったんだと思います。楠さんボーカルでよかった。

10.僕の心のありったけ

凡ミス発動。イントロで盛り上がり(あのイントロ、なんか気分上がりますよね!)、歌い出しで勘違い。これで何回目かなー。
「あたらしいまちの」と聴いて、この曲をニュータウンだと思い込んでしまうという!これね、ほんとに凡ミスで、なぜ毎回やっちゃうんだろうと思うんだけど、またやっちゃった!そしてがっかりするという!ちがうの、私がニュータウン好きすぎるだけなの…
ブリッジとか、若干音程が不安な感じだった気もするけど、それ以外は気にならなかったということがすごい。本当にすごい。高樹さんの本気というものを見せられ続けている。

11.セレーネのセレナーデ

矢野さんが真ん中にきて。あれ、これはもしやと思ったら大正解。例のちっちゃい人が、時にネクタイをシャツにつっこみながら叩いたあれです。
でも、もう泣かないんです私。今のKIRINJIを見たいから。
せっかくのコトリさんのピアノ、もっと大きい音で聴きたかったなあ。この曲はピアノに活躍してもらわないといけない!

12.Ambient

インスト曲。いいのよ!こういうのもあって!いいじゃない!

13.都市鉱山

ふふふ。客をある程度は沸かせなきゃいけないという高樹さんの強迫観念もといファンサービス。ありがとね!
いや、待てよ。間奏前の「弓木ちゃーん!」を言いたいがためにこの曲選んだのかな?だとしたら、大正解だ!
ここからはちょっとあれなので反転。最後の元素のところで手を上げるの、なんだかかっこわるい気がする…若いバンドの盛り上がり方に憧れてるのかな、みたいに思えちゃう。もちろん、音楽の楽しみ方は自由なんだけど。一見さんとかにKIRINJIってそういうことをする場だと思われたら、なんだか心外だと思ってしまうんだけどな…悪口終わり。

14.シーサイド・シークエンス

ん?このメロディは!あれですよね!!あれ!!!笑
いやー、まさかライブで聴ける日が来るとはね!生「どぅんどぅびどぅえすた・どぅんどぅばどぅんだば・でぃーん・うぱっ」が聴けるとは!(※歌詞はイメージです)
母の一言感想を載せておきます。「ライブだとシーサイドシークエンスもいいね。」

15.ジャメヴ・デジャヴ

表記はこれでいいのでしょうか。ちなみにフランス語だと「j'aime vu・ déjà-vu」だそうです。j'aime vuは未視感、 déjà-vuは既視感。デジャヴは有名なのであれですけど、ジャメヴは「一度体験したのに、初めてのように感じること」だそうです。なるほどねー。
すんごくおしゃれな曲だったと思います。もう一回聴けるのが楽しみ!

16.ホリデイ

「夏のさわやかな曲です、ガールズが歌います」って高樹さんが言ったのはこれかな?
確かにさわやかで、例えば「夏の光」とは全然違う(あれは暑苦しかった!笑)、これからのKIRINJIはこんな引き出しもあるんだなあって思わされる曲でした。キリンジでは出せなかった軽やかさなのかな、と思ったりして。

17.TREKKING SONG

ああ、この曲持ってくる?!と思いましたね。
泰行さんの門出を祝う曲だと思っていたけど、これほどまでに今日の日のKIRINJIに合うなんて!
SING SING SING A SONGのコーラス、もちろん男性陣もなんだけど、女性陣が効いててねえ…

18.絶交

やるとは思っていたんだけど。改めて、びっくりするよね。泰行とは絶交ってこと?!みたいな(笑)
久しぶりに聴いて、やっぱり大好きです。そして、ここぞとばかりに言わせてもらうけど、泰行さんが歌うよりもずっと好き!高樹さんが歌うからこそ、絶交は名曲なんです。「紫色の雲がちぎれて」は高樹さんじゃなきゃいやなの。
とっても上手だった。高樹さんのうたをこんなに聴けて、幸せです。

19.進水式

本編最後の、特別な曲。今じゃないかなー、なんて笑いも取りながらの紹介。
新しい舟で。この6人で。大海原に出るんだね。
母は号泣しておりました。私は大爆笑しました。あ、あの「髪を切った」的な下りでね。どんだけ泰行に髪切ってほしかったんだ!笑
最後は「生きて帰ろう」。
この6人なら、この舟なら、必ずや生きて帰ってきてくれると思う。それどころか、仏像を日本に作りに来てくれるかもしれないし*1喜望峰を回れるかもしれないし、新大陸を発見するかもしれない。

アンコール1.雪ん子

すきだねえ、雪ん子。いいんだけどさ。イントロとか好きだしね。

アンコール2.(クリスマスソング)

「おどりませり、うたいませり、しゅはきませりのクリスマス♪」
ガールズが歌う。それだけで、なんて幸せな気持ちになるんだろう。キリンジにはなかった魅力がこれでもかと溢れ出す。

ダブルアンコール・今日も誰かの誕生日

出てきた皆様、手に楽譜。ん?賛美歌歌うの?
「今までやったことのないことをやろうと思って、誕生日を、コトリさんにお願いして、合唱曲風にアレンジしてもらいました。そうしたらねー、しびれる曲になったんですよ」
なんと!そういうこと!
で、実際にしびれました。
このライブで一番ちゃんとピアノを堪能できたかも。コトリさんのピアノ、もっと大きい音で…ってしつこいですね。
玄さん楠さんパートのコミカルさも含め、本当にしびれたなあ。こんな遊び心も素敵!
最後の最後まで、高樹さんのおもてなしの精神を感じるライブでした。

このライブが始まる前は、あまり前向きな気持ちになれなかった。だけど、このライブで高樹さんの覚悟がきちんと伝わりました。どれだけちゃんとKIRINJIをやるつもりなのか。
ライブが終わって数日経った今、思います。高樹さんはきっと、8年前は甘えがあったんだな。そのうち帰る「キリンジ」に。メインボーカルの泰行さんに。
だけど、もう甘えられない。家族を養うため、っていうのが一番の理由かもしれない。でも、それでもいい。
高樹さんは「キリンジ」という名前に泥を塗らなかった。
もし、8年前と同じことをしていたら、どうなってただろう。こんな気持ちでライブの感想を書いてなかったのは確実。大阪、チケットあっても行かなかったかも。
どうすればファンが喜ぶか。今までキリンジを見てきたファンを、どうしたらKIRINJIに呼び込めるか。チャンスは多分、12月のライブの一回限り。
そのためにやれることは全部やってくれた。KIRINJIを、きちんと始めてくれた。
高樹さんも、とても大事に思っていたんですね。キリンジのこと。
音楽って、「おとをたのしむ」と書くんだけど。こんなに心から楽しめたのは久しぶりでした。最近のキリンジのライブは、終わる恐怖と寂しさばかりで、心からなんて到底、楽しめてなかった。
高樹さんのおかげなんだな。選曲や曲順も、本当に考え抜かれたセットリスト。万全の準備。それでも、開演前はきっと胃が痛かっただろうな。
でも、もう大丈夫。ファンはちゃんと高樹さんの気持ちを分かったから。改めて、ちゃんと付いていかなきゃいけない人なんだって、信じることができたから。
キリンジファンの皆様。KIRINJI、おすすめです。

*1:間違えた、鑑真は仏像作りに来たんじゃないのねー勘違いしてた!