精神科医という仕事。

一回更新したら連続更新というね。そういうもんよ。
精神科医に限らず、医師全般がそうだとも思うんだけど。
黒子だなあって思う。自分の感情は出さずに、主人公は患者さん。
これって意外と難しい。下手したらクレーム処理係と一緒になってしまう。クレーム処理より少し楽なのは、患者さんは助けを求めてるっていうところかな。だけど、とても助けを求めてるようには見えない人も中にはいて。理不尽なことを言われたときに、いかにして、そう思う気持ちに共感しつつ、違う視点を瞬時に提供するか。そういうとき、私は空気だ。あるいは黒子。共感してるから、私の感情は存在しているように見せかけて、多分存在してない。
今日、一度、それを失敗した。私の感情を消せなかった、というより、私の感情と同じベクトルの考え方を別の視点として示して、でも患者さんはその視点には納得せず、つまり結果的に判断ミスだった。患者さんにそれをしつこく指摘されて、余計に崩れた。あの診察は、ひどかった。
今日、でも、別の患者さんに、「先生だから入院した」と言われた。さらに別の患者さんに、「私みたいな患者、迷惑じゃないですか?」と言われた。
あなたたちから見て、私はどんな医者なんだろう。ちゃんとあなたたちを、空気のように呼吸の手伝いをできてるんだろうか。黒子のように表舞台で支えられているんだろうか。
私は聖人君子じゃない。それはきっととっくにばれてると思う。口で言ってることと違うことを思ってること、かなりある。それでも、私の患者さんでいてくれる患者さんたち。
私は聖人君子じゃない、でもね。言っていることと思っていることが違うとしても、あなたたちに元気になってほしい。そう思う気持ちは本当なの。どんだけいらっとさせられても、むかついても、傷ついても、なぜか最後にはそう思ってるの。
空気でいながら、黒子でいながら、でも何かの拍子にこの気持ちが伝わったらいいなって、思うよ。
明日も頑張ろうね。